一人暮らしの高齢者が死後の手続きを準備する5つの確認
「自分が亡くなった後、葬儀や住まいの片付けは誰がするのだろう」と不安に感じる方もいます。一人暮らしで、子どもがいない方や親族と疎遠な方は、希望を書き残すだけでなく、実際に手続きを行う人まで決めておくことが大切です。この記事では、一人暮らしの死後の手続きを準備する順番と、遺言書、任意後見契約、死後事務委任契約の使い分けを説明します。
死後の手続は「希望」と「実行する人」を分けて考える
亡くなった後には、関係者への連絡、葬儀、火葬、納骨、入院費などの精算、行政機関での手続、公共料金や携帯電話の解約、家財や遺品の整理などが生じます。
死後事務委任契約とは、こうした死後の事務のうち、依頼したい内容を生前に受任者との契約で定めておく方法です。ただし、対応してもらえる範囲や費用は契約ごとに異なります。
エンディングノートには、葬儀やお墓、連絡してほしい人、医療や介護の希望などを自由に書けます。しかし、財産の渡し方を書いただけでは、遺言書として法律上の方式を満たさない限り、その内容どおりの相続を実現できるとは限りません。希望を記録するものと、希望を実行するための遺言書や契約は分けて考えましょう。
最初に財産・契約・連絡先を一覧にする
終活は、まず次の五つを一覧にまとめると進めやすくなります。
1.預貯金、保険、不動産、有価証券、借入れ
2.年金、公共料金、携帯電話、インターネット、定額サービス
3.かかりつけ医、介護事業者、緊急連絡先
4.葬儀、納骨、お墓、住居の明渡しに関する希望
5.スマートフォン、パソコン、ネット口座などのデジタル情報
暗証番号やパスワードを誰でも見られる場所に書くのは避け、情報の保管場所や確認方法を信頼できる人に伝えます。
一覧は一度作って終わりではありません。入院、転居、口座の解約、不動産の売却などがあったときは、内容を更新しておきましょう。
遺言書・任意後見・死後事務委任を使い分ける
遺言書は、主に財産を誰に引き継がせるかを定めるものです。親しい友人や世話になった人など、法定相続人ではない人に財産を残したい場合は、遺言書による「遺贈」を検討します。
自筆証書遺言は、本人が法律上の方式に従って作成する遺言書です。公正証書遺言は、証人二人の立会いの下で公証人が作成します。公正証書遺言は原本が公証役場に保管され、亡くなった後の家庭裁判所による検認も必要ありません。
任意後見契約は、認知症などで判断能力が不十分になった後の財産管理や契約手続に備える制度です。公正証書で契約し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。任意後見は生前の支援を目的とする制度であり、葬儀や納骨などの死後事務を直接担う制度ではありません。
例えば、配偶者や子どもがなく、親族とも疎遠なAさんが、友人に預貯金の一部を残し、葬儀と自宅の片付けを専門家へ依頼したい場合、遺言書と死後事務委任契約を組み合わせる方法が考えられます。将来の判断能力低下にも備えるなら、任意後見契約も個別に検討します。
契約先を選ぶときの5つの確認
身元保証や終身サポートを利用する場合は、次の点を契約前に確認してください。
1.提供されるサービスの具体的な内容
2.契約時の費用、追加費用、支払方法
3.預託金を事業者の運営資金と分けて管理しているか
4.解約方法、解約料、返金の取扱い
5.判断能力が低下した場合の対応
国のガイドラインでも、重要事項説明書の交付、契約書の作成、預託金の分別管理、相談窓口の明示などが確認項目とされています。長期間にわたる契約では、説明を一人で聞かず、第三者や専門家に内容を確認してもらうことも有効です。
手続に応じて相談先を選ぶ
行政書士は、財産や希望の整理、戸籍収集、相続人調査、遺言書原案、任意後見契約や死後事務委任契約に関する書類作成などを支援できます。
ただし、相続人間の争いや交渉、遺言書の有効性をめぐる問題は弁護士、不動産の相続登記申請は司法書士、相続税の計算や申告は税理士への相談が適切です。状況によって必要な手続や相談先は異なります。
アイシー行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の行政書士事務所です。相続手続の相談をはじめ、遺言書作成や終活相談にも対応しています。元気なうちに財産、希望、依頼先を整理しておくことで、将来必要となる準備を一つずつ具体化できます。

