死後の手続は誰に頼む?
「自分が亡くなった後、葬儀や納骨、自宅の片付けは誰がするのだろう」と考えたことはありませんか。配偶者や子どもがいない場合、親族がいても遠方に住んでいたり、長く交流がなかったりして、当然に任せられるとは限りません。
特に確認したいのは、財産を引き継ぐ「相続」と、葬儀や契約の解約などを行う「死後の事務」は別の問題だという点です。両方を分けて準備すると、自分の希望を具体的に残しやすくなります。
まず相続人を確認する
配偶者も子どももいない方の場合、父母や祖父母が存命であれば、その方が相続人になります。父母や祖父母も亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人となり、兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子である甥や姪が相続人になることがあります。
疎遠であることだけを理由に、相続人から外れるわけではありません。自分の財産を親しい友人や世話になった人へ残したい場合は、遺言書で「遺贈する」旨を定める方法があります。
遺言書の内容を実現する遺言執行者も指定しておくと、手続を進める人が明確になります。相続人以外の人へ財産を遺贈する場合は、その人を特定できる資料も準備しておく必要があります。
ただし、相続人の構成や遺留分の有無など、状況によって異なります。
死後事務委任で頼めること
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要となる事務を、生前に信頼できる人や専門職、事業者へ依頼しておく契約です。
依頼する内容としては、関係者への連絡、葬儀・火葬・納骨の手配、住居内の家財整理、行政機関への届出、公共料金や携帯電話などの解約に関する対応が考えられます。
ただし、契約先によって実行できる範囲が異なります。携帯電話や公共料金の解約は、各事業者の手続条件により受任者が対応できない場合もあるため、契約前の確認が必要です。賃貸住宅についても、明渡しや残置物の処分方法を契約書に具体的に定めておくことが重要です。
また、死後事務委任契約だけでは、友人へ預貯金や不動産を渡すことはできません。財産の承継は遺言書、死亡後の実務は死後事務委任契約というように、役割を分けて考える必要があります。死亡後の税務申告も、死後事務委任契約だけで受任者が自由に行えるものではありません。
任意後見とは役割が違う
任意後見契約は、将来、判断能力が低下したときに備えて、預貯金の管理、介護サービスの契約、施設入所の手続などを任せる制度です。
本人に判断能力があるうちに公正証書で契約し、判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。
つまり、任意後見は主に「生きている間」、死後事務委任は「亡くなった後」、遺言書は「財産を誰に引き継ぐか」を扱います。
入院や施設入所時の支援、日常の財産管理、死亡後の手続まで希望する場合は、財産管理委任、任意後見、身元保証、死後事務委任などのうち、どの契約が必要かを個別に整理します。それぞれ目的や効力が異なるため、同じ制度としてまとめて契約するのではなく、役割を確認することが大切です。
契約前に決めておくこと
死後事務を依頼する際は、次の事項を具体的にしておきましょう。
・連絡してほしい人と連絡先
・葬儀、火葬、納骨、お墓の希望
・自宅の明渡し、家財や形見の扱い
・解約が必要な公共料金や定額サービス
・報酬、実費、預託金の金額
・余った預託金の返還先
・事務終了後の報告先
・契約の変更や解約方法
特に預託金を預ける場合は、金額の根拠、管理方法、使途、残金の返還方法を確認することが重要です。契約内容と費用を書面で受け取り、事業者の相談窓口や解約条件も確認してください。
あわせて、戸籍、通帳、保険証券、不動産資料、年金関係書類、契約中のサービス一覧を整理します。暗証番号やパスワードは一覧をそのまま置かず、保管場所と開示方法を慎重に決めましょう。
エンディングノートは希望や情報を整理するのに役立ちますが、原則として遺言書と同じ法的効力があるわけではありません。財産の渡し方を指定したい場合は、法律上の要件を満たした遺言書が必要です。
相続人間で争いがある場合や遺言書の有効性に問題がある場合は弁護士、相続登記は司法書士、相続税の申告や税務判断は税理士への相談が適切です。必要な手続、提出先、期限、必要書類は状況によって異なります。最新の取扱いは関係機関への確認が必要です。
アイシー大阪本町相続サポートでは、戸籍収集、相続人調査、遺言書原案や死後事務委任契約に関する書類作成支援など、相続手続の相談に対応しています。大阪市中央区・本町駅徒歩3分。元気なうちに、誰に何を任せるのかを一つずつ整理しておくことが大切です。

