亡くなった親の高額療養費

親が入院中に亡くなり、「高額療養費は死亡後でも申請できるのか」「病院代を立て替えた子が受け取ってよいのか」と迷う方は少なくありません。

高額療養費とは、健康保険が適用される医療費について、1か月の窓口負担が年齢や所得に応じた上限額を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。本人が亡くなった後でも、請求権が残っていれば相続人が申請できる場合があります。ただし、加入していた医療保険によって、申請先や必要書類が異なります。

死亡後でも相続人が申請できる

亡くなった親自身に高額療養費の請求権があった場合、その権利は相続人が引き継いで申請できます。協会けんぽでは、被保険者が亡くなった場合は相続人が申請する取扱いです。すでに本人が申請して支給待ちだった場合も、振込口座の変更や相続人による受領手続が必要になることがあります。

一方、親が子や配偶者の健康保険の「被扶養者」だった場合は、制度上の申請者が被保険者である子や配偶者となり、高額療養費が故人の相続財産にならないことがあります。国民健康保険でも、世帯主が申請者となるため、亡くなった人が世帯主だったかによって手続が変わります。誰が病院代を立て替えたかだけでは決まりません。資格確認書、資格情報のお知らせ、後期高齢者医療資格確認書などから、保険者名と被保険者を確認しましょう。

高額療養費の対象は、原則として保険診療の自己負担分です。差額ベッド代、入院中の食事代、診断書代、先進医療などの保険外負担は対象になりません。病院の領収書では「保険診療」と「保険外」の内訳を分けて確認します。

診療月と加入先を整理する

高額療養費は、原則として毎月1日から末日までを一つの単位として計算します。月をまたいで入院した場合は、入院期間全体ではなく月ごとに判定されます。入院と外来、複数の医療機関や薬局の自己負担を合算できることもありますが、年齢や医療保険によって計算方法が異なります。

2026年8月診療分からは自己負担限度額の仕組みが改められ、年間上限も導入されています。7月以前の診療分とは適用される金額が異なるため、インターネット上の古い金額表だけで判断しないようにしましょう。診療月、当時の年齢、所得区分、加入先を保険者へ伝えて確認することが大切です。

診療月から数か月後に申請案内を送る保険者もあります。ただし、死亡後は案内が届かないこともあるため、医療費が高額だった月があれば自分から問い合わせましょう。

申請期限と必要書類を確認する

申請先は、受診当時に加入していた医療保険です。国民健康保険なら市区町村、後期高齢者医療制度なら市区町村の担当窓口、協会けんぽなら加入していた都道府県支部などへ確認します。勤務先の健康保険組合に加入していた場合は、その組合へ問い合わせます。

申請期限は、原則として診療月の翌月1日から2年です。ただし、医療費を翌月以降に支払った場合や、自治体から申請案内が届いた場合など、起算日の取扱いが異なることがあります。

相続人が申請するときは、一般に次の資料が必要となります。

・高額療養費支給申請書
・故人の保険資格が分かる書類や記号・番号
・診療月と医療機関が分かる領収書など
・死亡と申請者の続柄が分かる戸籍等
・申請者の本人確認書類
・相続人名義の振込口座が分かるもの

領収書が不要な保険者もあり、相続順位を確認する書類や代表相続人の申立書などを求められる場合もあります。原本か写しか、郵送申請が可能かも含め、提出前に確認しましょう。

相続放棄や税金にも注意する

故人本人に帰属する高額療養費の請求権は、原則として相続財産として扱われます。相続人が複数いる場合は、受け取った人だけのものと決めつけず、遺産として記録し、ほかの相続人と共有しておくことが大切です。相続税の申告が必要な場合は、計上方法を税理士へ確認してください。

借金があり相続放棄を検討している場合は、高額療養費を申請・受領する前に弁護士へ相談しましょう。受領したお金の扱いによって、相続の承認に関する問題が生じる可能性があります。また、高額療養費と所得税の医療費控除は別の制度です。医療費控除を計算する際は、補てんされた高額療養費を対応する医療費から差し引く必要があるため、税務署または税理士へ確認してください。

元気なうちに、加入する医療保険、資格情報の保管場所、入院費の支払記録を家族と共有しておけば、死亡後の請求漏れを防ぎやすくなります。アイシー大阪本町相続サポートは、大阪市中央区・本町駅徒歩1分で、戸籍収集や相続関係書類の整理など、相続手続の相談に対応しています。

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